日常の土曜日

 今日は本屋へ行った。統計学の本を探すためだ。なぜ統計学かというと、別に理由はない。なんとなく、暇つぶしが欲しかっただけだ。

 

 『直感的統計学』。

 

 そういうタイトルの本を見つけた。パラパラとめくる。すごく簡単そうだ。こういう、あまり頭のよろしくない人に向けた本を、俺は探していた。なぜかというと、明確な理由がある。俺の頭があまりよろしくないからだ。

 

 なにせ高校生の頃には真っ赤なシャツに黒のジャケットという痛々しい姿で家の周りをウロウロしていたし、大学生の時にはかっこいいと思って手首にバンダナを巻いて過ごしていた。陰でリストカット常習者と呼ばれていたことを知るのは、それから5年後の同窓会でのこと。ちなみにその同窓会では、結婚式でもないのに胸ポケットに銀色のハンケチーフを挿していた。ここまで書いているうちに、首を吊りたくなってきたが、要するに、そういう黒歴史は枚挙に暇がないくらいには、馬鹿だということだ。

 

 近所のスターバックス・コーヒーに腰を落ち着ける。コーヒー片手に、購入した本を読み始めた。中々面白い。どんどんと読み進める。最初の20ページくらいまでは。

 

 標準偏差の話が出てきたあたりから難しくなって、飽きて本を閉じた。

 店を出て、近所の酒屋で白ワインを買って家へ帰った。いつもの土曜日。こうして今日も過ぎていく。明日も多分、似たようなものだ。